泰国での珍寺修行、気が付けば大晦日である。
以前からタイで新年を迎えるにあたって是非見たいイベントがあった。
それは前回のタイ修行の際訪れたタンマガーイ寺院のニューイヤーカウントダウンイベント。
大晦日の晩にそれはそれは凄い数の信者が訪れて新年を迎えるのだという。
バンコクの北、パトゥムターニー県にあるこの寺院、その規模たるや寺院というよりひとつの町といっていいほどの大きさ。
いまや世界中に支部を増やし日本にも東京をはじめ数箇所に拠点が出来ている。
確か長野に支部が出来たときは、すわカルト!的な騒ぎがあったような記憶が…
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南北に長い敷地内に3つの丸が直列しているのがお判りいただけるだろうか。
一番下の半円状の部分が入り口、そのすぐ上がメモリアルホール、その上の大きな四角い建物がタンマガーイホール、
その上が瞑想スタジアム、一番上が建設中で用途は詳らかにされていない謎の建物となっている。
更にメモリアルホールの右側にある丸い建物はダイニングホール、その上には金色のピラミッドなどもある。
そして赤い囲みの部分は…その話は後にしましょう…
勢いのあるポスターが境内のあちこちに掲げてある。この教団のイケイケ具合を見事に示している。
いまさら言うまでもないがここは伝統的な仏教寺院ではない。
いわゆる新興宗教の施設だ。
ただし日本の新宗教にありがちな(どことは言わないけど、ここでは)排他的な雰囲気は感じられない。
どちらかというと皆さんフレンドリー、な気がする。
それでは入口から順に巡ってみよう。ああ、勿論今回もタクシーでスーダラダッタ~と回ったともさ。
だって広いんだもん。
まずは入口を入ってすぐのメモリアルホール。
金色のUFOのようなこの建物、初めてここを訪れた人を驚かせるのには充分すぎるインパクト。
今回は2回目なので前回に比べれば腰の抜かし具合は甘かったが、それでも驚愕のスケール感である。
直径約150メートル。ホントにでかいんですよ。
さらにテーマパークのようなゲートの向こうには…
これまたカラフルなUFOのようなダイニングホールが見えてくる。
ダイニングホールの入口。
ここでは信者や僧侶が食事をとる。
判りやすいですねえ。
チョット緊張したが中に入ってみた。
中には大勢の信者さんと僧侶が小グループに分かれてそれぞれ念仏を唱えたり説法を聞いたり、修行中だった。
オレンジ色の僧服を着ているのが僧侶。信者は全員白シャツに白パン。一方、私は黒Tシャツに黒パン。彼らから見たら悪の権化みたいな格好に映ったに違いない。
まあ、しかしそこはアバウト路線がデフォルトなお国柄なので頓着する人もナッシング。
こちらもアバウトにお邪魔しま~す。
この教団の創立者であるクーンイエイさんの肖像の基、皆さん修行にいそしんでおります。
周囲には不思議なモニュメントが。
現在、この寺院は南側の入口から金色UFOのメモリアルホール、その北にあるタンマガーイホール、さらに東側のダイニングホールあたりまでは完成しているが、それから北側は未完成である。
なのであちこちで工事をしている。
一説には完成までは1000年かかるとか。
この教団オリジナルのバリケード、超欲しいわー。
前回の訪問時に比べて工事は着々と進行中…と言いたいところだが、あまりにも広すぎてどこがどう進んでいるのか、工事の進捗具合がまるでわからない。
印象としては前回とほとんど変わらないような…
車で北側のタンマガーイホールと瞑想スタジアムの間まで移動。
ここにモニュメンタルなスペースがある。
周りの足元とか綺麗に整地してから設置すりゃあいいのに、そんなのお構いなし、赤土パフパフの上にぽつんと置いてあるのでいきなり感は否めない。
これがタンマガーイホール北側正面。お寺というよりは巨大な倉庫といった風情である。
↓謎のコスモクリーナーっぽいモニュメント。
この建物だけで15万人収容できるという。
地下にはこれまた広大な駐車場があるが、ここでも15万人の修行が可能となっており合計30万人が同時に瞑想出来るという。
ちなみにこの寺院のあるパトゥムターニー県の全人口は60数万人だそうです。
蓮の花を象ったオブジェが並んでいる。他ではチョット見かけないオリジナルデザイン。
で、中に入ってみる。
広い!所々採光してあるので暗さは感じないが、はるか彼方まで屋根が続く。
グーグルマップで見たら約500メートル四方あったぞ。
各セクションには絵文字の案内板が。
まあ、ココまで来るとお寺というより空港や倉庫、ショッピングセンター等の方が大きさの比較としてはしっくりくるかも。
地図で見てみるとこの寺院は羽田空港と同じかチョット大きい位。関空よりは全然広いです。
各柱にはBOSEのスピーカーが取り付けられており、モニターも付いていたりする。
んで、タンマガーイホールのど真ん中ではこれまたUFO型の祭壇に僧侶(生き神様なのか?高僧のミイラなのか?レプリカなのか?)が座している。その前に信者の皆さんがズラ~っと座っていた。
説法というよりはバラエティ番組の収録みたいな感じ。
司会者の不必要なテンションの上げ方が不気味なのは日本のバラエティ番組と同じ。
客席は全員白い格好をした信者さん。
ほとんどの人が熱心に話を聞く訳でもなく、ダラ~っとした感じだった。
それにしても以前来た時に信者さんが言っていた「それはそれは凄いカウントダウン」はどうみてもやりそうにない雰囲気。
この時点で日没までもう少し、的な時間帯なのだが…人がいねえぞ。
どうやら大晦日じゃなくて他の日のイベントのことだったのかも…
折角来たものの、あまり盛り上がっていないのでこのまま夜12時まで待つ気力も失せちゃいました…
ホールの隅にいた象さん。背中には蓮の花のようなモノが乗っている。
そんなに大きく見えないが、実は結構大きい。もうスケール感がおかしくなっちゃう。
象さんのほっぺたに小さい象さんの生首が付いている。何かの隠喩なのだろうか…
ホールを出て瞑想スタジアムに向かう。
外側は工事中。
しかし中では数百人の人達がテントに篭って瞑想していた。
SF映画のカタパルトのような巨大な屋根の下に一人がやっと入れるテントが等間隔に並んでいる。
この教団の世界観とか宗教観とかがこの場所に詰まっているように思えた。
この巨大な瞑想スタジアムはロの字型になっていて、その中央にUFO型の仏塔が位置している。
今はタンマガーイホールに一番近い部分しか使用されていないが、完成すれば1キロ四方の巨大な瞑想場になるわけだ。
ただ、南国のお土地柄ゆえテントの中は相当厳しい修行場と化すに違いない。リアル灼熱地獄。
中央のチェディへ近づくことすら出来ないよ、遠くて。
世界でも有数の欲望にまみれた都市、バンコクの郊外にあってその無機質ぷりは異様とも思えるほどであった。
ちなみに瞑想スタジアムにいた人たちは若い美男美女が多く、こちらが質問したり話しかけたりしても皆流暢な英語でにこやかに答えてくれるような超さわやか軍団。きっと教団内のステージも高いんでしょう…
挙句の果てには全員で声をそろえて「あなたの旅に幸福がありますように~」の大唱和。
何だこのフレンドリー具合。カメラ取り上げられたり、お布施を強要されるよりは全然いいけど…チョット怖いぞ…
↓境内にあった案内図。
コレによると現在、その姿を現しているのはほんの4分の1にも満たないことが判明。
ひぇ~。一体どんなことになるのやら…
最後にタクシーで工事中の現場などをぐるっと回ってみたのだが、建設予定地である一部(↑の赤で囲った部分ね)に一大スラム街があった。
これは建設関係の作業員の住まいなのか、寺が貧しい人達を収容しているのか、それとも…
詳細は一切わからなかったが、タイ国内では滅多に見られないレベルの壮絶なスラムで、先ほどの清浄極まりない人たちとの対比が強烈でした。まるで世界の果てと果てが背中合わせに存在しているかのようだった。
んで俗世に生還。
バンコクの中心街ではあちこちでニューイヤーイベントが始まろうとしていて、まさに沸騰直前のにぎやかさ。
まさかこの4ヶ月後、ここで銃弾が飛び交い人々が血まみれになって倒れるとは1厘も想像だに出来なかった。
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