うわぁぁぁ~龍が龍がっ!
…決してSF映画のセットではない。れっきとしたお寺ですよ。
巨大な龍が円筒形の建物に巻きついている驚愕の寺、ワットサンプラン。
奇しくもこの日は元旦、こんな素敵過ぎる寺から2010年の珍寺修行は始まったのである。
場所はバンコクの西に位置するナコンパトム県。
有名な観光地、ローズガーデンや巨大なウオーキング仏陀像の近くなので、ひょっとしたらその辺を観光された方やカンチャナブリ方面に行かれた方などは視界の端っこにチラッと見えていた可能性大である。
なにせ巨大なので遠くからも良く見える物件なのよ。
ワクワク、というよりどきどきしながら境内に入る。
アピール度抜群のお寺だけに参拝客もそこそこ訪れているようだ。
得体の知れないオブジェや意味不明の装飾などが次から次へと現れ、精神的バッテリー残量がドンドン減っていく。
それでも行くんだよ!
気絶しそうなキテレツ建築の真下に立って俺様、悶絶、歓喜。
ど~ですか、この眺め。
脳味噌が腸捻転を起こしそうなドラゴンタワー。
遠くから見たら書き割りに見えた窓もリアルな窓だった。外から階数を勘定すると大体15層位ありそう。
お坊さん達と比較していただくと龍の巨大さがお判りいただけるかと思う。
靴を脱いでドラゴンタワーの中に入りましょう。
僧侶の後姿が素敵過ぎるエレベーター。ただし起動していなかったような気がする。
ボタンの下にあるのはエレベーター使用時における賽銭箱、だった様に記憶しているが、ひょっとしたら灰皿だったかもしれない。
1階の中央から上を見上げる。最上階まで吹き抜けになっていた。
「馬鹿と煙は上に昇りたがる」という格言に従って最上階を目指そうではないか。
階段を上って行くとすぐに現れるのがこのささやきオッサン。
「旦さん、旦さん、こっちから行くと最上階までらく~に行けまっせ。どうでっか?」
と言っているような気がしたのでお口の中にチェックインさせてもらいました。
そこは龍の胎内であった。建設中なのか建設放棄なのか飾り気のないトンネルになっている。
丁度この辺↑の内部になる。
さて、先へ進もう。
タイのお寺では堂内に入る際、靴を脱いで裸足にならなければならない。
おかげで足の裏がガピガピになっちゃったよ。
そうこうしている内に最上階付近まで到達したようだ。
先まで階段が続いているが扉に施錠されていてこの先は進めない。
ここで本体の円筒状の建物に入る。
↓今、上って来た龍の胴体。
このように円筒形の建物と龍の間は微妙に離れている。本来であれば建物に龍の胴体がピッタリ密着している方が工法的にも楽なはずだが、あえて離してある。この辺にこの寺の建築的なプライドが伺える。
円筒形の中に入るとそこは先ほど見上げた吹き抜けの最上部だった。
吹き抜けは板やネットでぞんざいに塞いであった。
あまり人が出入りしている様子はなく、フロアには工具などが放置されている。
ちなみに床の黒ずんでいるのは全部鳥の糞です…
更に階段を上るとそこは最上階。階数でいうと多分16階、だったと思う。
ガラスの天窓がSFっぽい広間があり、中央に人工の木があった。
回り込んで見てみると、釈迦誕生のシーン。
直下の鳥糞だらけのフロアとのギャップが激しい。本来であればエレベーターでここまで直接来るようになっているのだろうか?
さらに階段を上り、屋上に出る。
先ほどの釈迦誕生ルームの天窓は外から見るとこんな。トタンで塞いであるんだ…
巨大な龍の頭部が間近に迫っていて大興奮!何という大きさ!
龍の身体は陶器で仕上げられていた。
所々タイルが剥がれ落ちているけどいいのか?
こんな大きなタイルが地上に落下したら大変なことになりそうなものだが、そこはマイペンライ(細かいことは気にしない)精神で乗り切っているようだ。
先ほど施錠されていた階段を上っていくとこの口の中まで到達できたのであろう。
実にアクロバティックな龍である。
屋上に取り付いた階段は狭く、結構スリリング。
そして周囲に高い建物が一切ないので遠くまで見渡せる。
境内に目を配ると、まだまだ他にもアトラクションがありそう。
眼下には金色の大仏さんを擁する本堂。
更に気になるのがこちら
巨大な丸パンのようなモノが。そしてその先には木造船が幾つも並んでいる。
何だか良く判らないが面白そうなので行ってみる事に。
行きは龍の中を通ったので帰りは建物本体の階段で下りようじゃないか。
各フロアとも同じ平面で丸い吹き抜けを中心に小さな個室が配置されている。
外壁に面しているのは個室と階段の部分だけなので吹き抜け部分は一切外光が入らない。ので真っ暗。
所々施錠されていて入れないところもあったが、いずれにせよ未完成なのか廃墟なのか判断に苦しむ状態であった。
階段の踊り場に窓があり、そこから巨龍の胴体が見える。
先ほどのささやきオッサンのところまで戻ってきた。
外観の突飛さだけでなく内部も本邦のさざえ堂を思い起こさせる不思議な建築だった。
大満足のうちに塔を出る。
と、奥の方から白い一群が列を成してやってきた。
信者の皆さんが大勢塔の前に集まってきた。正月のスペシャル参拝なのだろうか?
何があるのだろう、と彼らが来た方へ行ってみる。
うお!
不気味な顔の生き物が口を開けて俺様のお越しをお待ちしているじゃあないか。
横から見るとこんな。
ああ、そうか。さっきの↓だ。
巨大龍に続いて巨大亀の登場である。
巨大龍との闘いでライフポイントがほとんど残っていない俺、なすすべもなく亀さんに呑み込まれるのであった。
お口は橋になっているんだね。
中には更に地下に下りるスロープが。もう抗うこともできずなされるがまま。
薄暗い地下には仏足石が祀られていた。
何だか地下駐車場みたいなトコだ。外へ出ましょう。
何だか亀に呑み込まれた後、排泄された気分だ。
亀の隣には池があってそこには木造船が3艘浮かんでいた。
この池から外の河川などにつながっているわけではないので。単なるコレクションなのだろうが、お寺の境内に船が3艘、って意味判らなすぎですよ。
池のほとりには小さな萱葺きのバンガローのようなモノがあり、若いお坊さん達が修行していた。
更に奥に進むと金色の観音サマが現れる。
それにしても広いお寺だ。樹木が多くて視界が悪いし、水路や池が多くて路が途切れてるし…
唯一の目印はドラゴンタワーだけ。
にしても龍の前足、迫力ありますねえ。ガッチリ建物をホールドしてます。
変なことで感心していたら…アレレ、道に迷っちゃった。
池のほとりで掃除していたオバチャンに道を聞く。
すると「アナタニホンジンカ?」との問い。何でも以前日本に住んでいたことがあるんだとか。
こんなタイの超ローカルで日本語を聞くとは思わなかったのでビックリした。
で、案内してもらったのが大仏さんのおわす本堂。まずは巨大な象さんがお出迎え。
それにしても巨大動物が好きなお寺だ。
下から見上げてみると腹の中が空洞になっていた。
で、本堂に入ろうとすると入口の上には巨大な孔雀が。
建物の中は巨大な広間になっていて、大勢の人たちがお昼寝してました。
で、屋上に出ると先ほどのドラゴンタワーの屋上から見えた大仏さんが鎮座していた。
ここからドラゴンタワーは目と鼻の先。結局ここに辿りつくまで凄く遠回りをしてたみたいです。
目の前に迫る龍と大仏さん。おお、双方にホットラインが敷設されているではないか!
さらに屋上の片隅に見逃せないマシンがあった。
これはかつてミャンマーで見た「金箔運びマシン」!
このマシンから龍の口の部分までワイヤーが張られており、ロープウェイのように奉納物が運ばれていく、という仕組み。
ただし、龍の口の部分が閉鎖されているのと機械が作動してなさそうだったので今はやっていないのだろう。残念だ。
龍の口まで一直線に伸びるワイヤ。まるで龍の餌を運ぶマシンのようだ。
大仏さんへのお参りは台座下の部分のこちらで。
蓮の花びらの内側にはプラクルアンと呼ばれるお守りがびっしり貼られている。
プラクルアンとは仏陀や高僧の姿が刻まれたお守りで通常はペンダント状になっている。
材質は金属製が多いが、中には石で出来たもの、新しいものはプラスチックのケースに入っているものなど様々。
タイ人はこのプラクルアンが大好きで、希少価値のあるものなどは高値で取引されている。
スーパーやコンビニ、本屋などでも週刊プラクルアン今買いはこのプラだ!的な雑誌が何種類も販売されている程プラ熱は高い。
そんなプラクルアンをびっしり並べて貼り付け、高僧にしたためているじゃないか!
お守りを集めて高僧にするなんて、ありがたさ炸裂ですね。
…でもコレって要らなくなった用済みのプラクルアンってことですよね。ありがたい…のか?
大仏さん脇のお堂の中でお参りする。
これで今年の初詣も完了。いい寺で初詣が出来て満足、満足。
最後に改めてドラゴンタワーを見上げる。
上から水を流してスライダーにしたらさぞかし面白いだろうなあ、などと思っていたら池の傍でガサっと音がした。
見てみると…
うへえ。リアル巨大龍だあ~~。
次、やっと「南」に行きますよ!
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