ワット プート
ウドン/パトゥムターニー県
WatPhutUdom/PathumThani
バンコクの北に隣接するパトゥムタ−ニ−県。
その片隅に奇跡のように花咲く超珍寺。
もう、この寺を見たらそんじょそこらの寺では驚かなくなってしまう程の要注意寺院だ。
周辺にはさびれた市場がある程度の田舎町。しかし境内はタイでも指折りの激濃空間が展開されている。
まず寺に到着して驚いたのはさして広くない本堂の前の庭にこれでもか、という位の変なコンクリ像が並んでいた事。
ええええっ!お寺の境内にヘリコプター!?で、カニぃ?!
とことん展開の読めない珍オブジェがてんこ盛り。あっ、へりは本物でした。
ヘリやカニのお出迎えを受けた時点で珍寺アドレナリンが大量放出。しかしそんな事にはお構いなしのおもてなし攻撃が続く。
不思議なエサをついばむ鳥や見た事もないオリジナリティ溢れる植物が点在する境内はさながら真っ黒いディズニーランドの様相を呈している。
極彩色のコンクリオブジェに早くも朦朧としながら本堂に近付く。
本堂前で仏具などを売っている売店も周りは得体の知れない植物やナーガに覆われていて、建物の原型さえも良く判らない状態になっている。
で、本堂前に座っている巨大な足の亡者。タイ冥界でお約束の長過ぎる舌をくねらせている。
おっとおお。
コレは以前ワットパーラックロイで見た自動仏像昇降機じゃあないか。
右下の神様の持つ壷に賽銭を入れるとその重さでモーターが起動し、ズンズンズンっと上に登っていき同時に左上の壷が降りて来る、という仕組み。
・・・賽銭を入れてみたが故障中だったみたいです。
なにやら本堂の裏にただならぬオーラを感じたので行ってみると・・・
うわぉっ!
色んな動物に食われちゃってるじゃないですか!
食われてる人はもう白眼剥いちゃってる。
しかも良く見れば動物の背中にはマシンが仕込まれていて起動しそうな雰囲気ムンムン。
結局ココのも動かなかったんですけど。
これは動くトコ見たかったなあ〜。
その他本堂周辺には様々なコンクリ像がひしめいていた。
タイのガンビーは血みどろです。
本堂右にあった僧房の祭壇の片隅には流木をバックにやけに偉そうな方が偉そうに座っていた。パネルだけど。
ここの寺のスポンサーだったりするんだろうか。だとしたらホントに偉い!
そこへやって着たお坊さん。先程から小躍りしつつコンクリ像をバシバシ撮っている日本人に興味津々の御様子。
でも貴方の入れ墨の方が興味津々なんすけど。
で、やっと本堂の周りを一回りして再び本堂前へ。
先程の足の大きな亡者の逆サイドには手の大きな亡者がいた。
見れば賽銭投入口が。コレは動く!と確信しつつ5バーツ硬貨を入れると・・・
うひゃあ〜。動いた!しかも何だぁ、その変なうめき声は。
そして手の大きい亡者の後ろには怪物が口を開けている。いかにも「ホレ、入れっちゅーの」と言わんがばかりに。
分かってますとも。入りますとも。
口の中に入って唖然。そこは本堂の下をまるっと使った地獄巡りだったのだ!
薄暗い入口には小机が置かれていて尼さんがニコニコしながら座っていた。
尼さんがタイ語で「ホレ、ここで小銭に両替しとかないと、この先楽しめないよ〜」と、言っていた(んだと思う)ので数十バーツを小銭に変える。
その後の展開はお分かりですよね。
まずは地獄巡りのエントランス。お約束の閻魔大王の御挨拶から。
勿論、そこには5バーツ投入口が。迷わず投入。すると・・・
ええええ〜!
これから地獄のあんな事やこんな事が始まるのにその陽気な音楽は何!?
・・・気を取り直して地獄巡りのスタートである。
地獄はこんな感じ☟
薄暗い室内のおどろおどろしい照明によって阿鼻叫喚の世界が照らし出されている。
何故か宇宙人みたいになっちゃっている地獄の亡者さん達。
お約束の鍋地獄では恐ろしい形相の鬼が鍋奉行を務めていた。あのう、ハラワタは出した方が良いんじゃないんでしょうか・・・
とにかく血まみれ。「地獄だろ。血ィ出しときゃ良いんだろ!」的な文字通りの出血大サービス。
御覧の通り造形的にはかなり稚拙だが、その分勢いというか、妄想独走体制に入っていて手が付けられない状態に陥っている。
地獄の場面場面ごとに賽銭箱があって、それぞれ硬貨を投入すると腑抜けた音楽と共に安い照明がチカチカと点灯する。
その音楽といったら・・・あまりにも呑気過ぎるぞ!
中にはグヒャヒャヒャヒャヒャ〜という真っ黒い笑い声を発するものもある。
思わずこの地獄を、笑いが止まらずに痙攣しながら作っている様子を想像してしまった。
何故か大きな亀が。この亀を助ければ極楽にでも連れて行ってくれるのだろうか。
入口から直進して突き当たった辺り。この辺で中間地点となる。
ここから血みどろスプラッター地獄は折り返し地点を迎えさらに残虐さがヒートアップしてくる。
あ、ここにもガンビー君が。ヒゲがイイ味だしてますね。
ローラーで潰されている地獄。隙間が空いちゃってあまり潰されてなかったりする。
この地獄は通路がコの字型になっているのだが、そのコの字の内側には部屋がある。
半分骨になっちゃってる男女の横を通り、部屋に入ると・・・
何となく投げやり感の漂う部屋があった。
一応装飾なども施されているが、地獄のやる気満々具合に比べるとガラ〜ンとしている。
見れば壁には写真が掲げられている。え〜っ!ここ納骨堂?
いくらなんでもこんなところに納骨堂はないだろう。もしホントに納骨堂だとしたら、ここを終の住処にしようと決意した人に敬意を表します。
さてさて、地獄は後半戦に突入する。
橋を渡って折り返す。橋のたもとには巨大な人喰い鳥が。勿論5バーツ投入で羽をバタバタさせてくれます。怪鳥音入りで。
タコもいたが、特に動く訳でもなく人を責める訳でもない。何でここにいるんだろう?
地獄の後半は前半に比べ立体地獄の周囲のイラストに重点が置かれ気味。
また、説明板なども置かれ、やや説教っぽい感じがする。タイ語だからわかんないけど。
と、見ると英語でも説明が書かれていた。ここって外国人の観光客とかも来る事があるんだろうか・・・実際私は来たけど。
前半部よりも心なしかイラストが上手になっているような気がする。
もしかして途中で絵描きさんを変えたのかも。どっちにしても趣向はグログロなんすけど。
次から次へと現れる地獄アンド賽銭箱にも手持ちの小銭も少なくなって来た。ついでに私の脳の許容量も限界ギリギリです。
地獄の締めはお馴染みトゲトゲの木地獄。皆さん、来世は幸せな人生を送って下さい。
でも、どうしても地獄に来ちゃった人はこの方にお願いするとイイらしいですよ。
そんなこんなで地獄巡りも終了。ホッとして変な怪物の口から出ると・・・
まだまだ終わってなかった〜!
これまたタイ地獄界ではお馴染みの美女のなる木とガイコツ自転車野郎。
乱歩のパノラマ島のようなこのスペースで最後の小銭をキッチリ使い切らせてもらいました。あ〜、功徳功徳。
やっと地上に出る。そこは本堂の右側、足の大きい人が座っているところだった。
本堂の入口前にも素通り禁止の必殺アイテムが。
托鉢僧がぐるぐる回る回転式賽銭装置。
壊れていて動かなかったけど、この辺も是非修理して常時回転していて欲しいモノである。
托鉢がベルトコンベアーで横に流れていく回転寿司スタイルの賽銭装置。
自分の守り本尊の前に托鉢が来たら賽銭を放り込め!という事なのだろう。スイマセン、もう小銭がスッカラカンです。
で、やっと本堂に。
一体本堂に本堂に辿り着くまでにどれ位の時間が経ったのだろう・・・
本堂の中に入ると、地元の家族連れの方々が参拝していた。チョット失礼しますよ。
南無泰地獄金剛〜南無泰地獄金剛〜。あんな地獄はイヤですよ〜。
さて、無事本尊様に参拝もした事だし、そろそろ帰ろうか。
・・・と思っていたら一緒に参拝していた家族連れのおばちゃんが「チョット、こっちも見なきゃでしょう!」と手招きをする。
見れば本堂入口のすぐ脇に階段があるではないか。
おおお、そうか二階にも何かあるんですな。行きますとも。
急な階段を登ると二階には予想に反して小さな仏像がひとつ置いてあるだけ。そしてもっと予想外だったのはさらに上に登る階段があったのだ。
おおお、何だか楽しそうなコトになって来たぞお!
階段は二階三階・・・と続く。
途中窓から外を見る。嗚呼ヘリコプター、あったね。遥か昔のコトのようだ。
そういえば本尊がある部屋の後ろには小窓が並んだ壁があったっけ。そこが今登っている階段と小部屋の部分だったのかあ。
おばちゃんに教えてもらわなかったら完全に見落としていたよ。おばちゃん、ありがと・・・ガツン!・・・頭をぶつけてしまい、おばちゃんにゲラゲラ笑われてしまった。狭く急な階段は要注意である。ついでにガキンチョにまで笑われる始末。トホホホ・・・
四階にあがると様相は一変して、いきなり広い部屋に出る。
クリスマスのイルミネーションのように電飾された部屋は・・・もしかして地下は地獄、上は極楽というコトなのか?
しかも上を見上げるとさらに階段が続いているではないか!
またまた階段を登っていく。壁が迫っているということはもう、屋根裏なのだろう。でもさらに階段は続く。
で、ついに最上階到着。丁度屋根の切り褄の部分が抜けていて外が良く見える。気分はサイコーである。
最初の狭く急な階段からは想像もつかない程のアトラクション、大変満足のいく修行であった。
下りる階段ではおばちゃんも頭をぶつけてました。おばちゃん、人の事を笑うから、ガツン!・・・私もぶつけてしまいました・・・
本堂の上から下まで目一杯使い切ったアミューズメント性、感服つかまつりました!
売店にはお守りや仏像が置いてあった。ここの地獄フィギュアとかガチャガチャとかあれば絶対買ったのに〜。
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