ワット ピクン トン/シンブリ県

WatPhikunThong/SingBuri


お次はシンブリ県にあるタイ最大の大仏を擁するワットピクントンである。

 

 シンブリの田園地帯。呑気を絵に書いたようなところである。

朝、食堂に飯を食いに行って何を食べようかとメニューをみてあれこれ考えている内に昼時になっちゃうのではないか、と思えるくらい呑気なところである。

そんな呑気な田舎道を走っていると大仏さんがこつ然と姿を現す。デカい。

大仏さんの大きさに見とれている内に車はワットピクントンに到着。

この寺は道を挟んで本堂のあるエリアと大仏のあるエリアに分かれている。

まずは本堂エリアに御挨拶。

休日という事もあってか大勢の参拝客で賑わっている。

ちなみにタイの正月は4月。凶暴な水かけ祭、ソンクラーで一年のスタートを切る。

また、タイに多く在住する華僑の人達も勿論旧正月が年明けだ。

従ってこの国では、1月1日は祝日だが日本のように「おめでとうございます〜、いつもより多く回してます〜」みたいな雰囲気はあまり感じられない。

一応大晦日の夜はナショナルスタジアム(あのサッカー日本代表がワールドカップ進出を無観客試合で決めたトコですな)で若者達が集まってカウントダウンイベントみたいな事をやってましたけど、まあ、その位ですかな。

どっちかというとクリスマスの飾り付けがまだとれてない雰囲気です。

というわけで参拝客も「一年の計は元旦にあり!ですわ」的なノリではなく「休みだし寺でも行くか」といった、まるで喫茶店に行く日曜日の朝の名古屋のファミリーみたいなラフな感じだった。ような気がする。

それでも本堂前にはゴージャスな供え物が並んでいた。

豚頭を筆頭に蒸し鳥、各種タイ料理が。うっ、旨そ〜!

本堂脇のお堂にはお坊さんの鑞人形が安置されていて、皆真剣に拝んでいる。

この鑞人形になったお坊さん、LuangPhoPhaeという人物だそうだ。

大仏さんを造った人物らしい。この寺の中興の祖ということになろう。

どうやらこの寺に来る人は皆この高僧を慕って参拝しに来るらしい。

タイではこのように高名なお坊さんを鑞人形仕立てにするケースが多いのだが、あまりにも精巧な出来なので本物と間違えてしまい、いつもビックリしてしまう。

 

で、本堂エリアを出ていよいよ大仏エリアに向かう。

 

 ここの大仏さんは本堂に背を向けた格好で座ってらっしゃる。従ってアプローチも背後から。

大仏さんの台座下は回廊になっていてどぎつい色彩のレリーフがズラリと並んでいる。

最初は呑気な感じのレリーフなのだが地獄絵図が展開される。

それまで平和な仏教世界のレリーフだったのが、いきなりどす黒い暗黒世界に転調。刃物で殺傷するとこんな地獄に。

   切られてます。刻まれ放題刻まれてます。

 

悪いヤツが多いのか、長いノコギリでいっぺんに首を曵いている。

   悲惨。もうメッタメッタですわ。

 

動物同士を闘わせるとこんなトコロに行きますよ。の図。

一見、やさしそうな蓮の華も悪い事をした人には容赦しません。

もちろん、他の花だって負けちゃいません。

こんな調子で地獄の責め苦を現したレリーフが延々と続く。作っている方も極楽世界を描いたと思われる前半部よりも心なしかリキ入り気味。

面白いので全部見てみましょう。

串刺し責め。どうもタイの地獄の責めが料理っぽいのはお国柄なのだろうか。日々、調理をしていて「鳥さん、ごめんなさい」という自責の念にかられているのだろうか。いや、ないない。

これは何だろう?

火の山を登らされているのだろうか。

生前人を殺めたらこうなる、という事か。

刃物を使ったら、より罪が重い、という事ですかあ?

 鬼、チョット西洋人入ってますね・・・

生き物を殺めた人には鍋の具になってもらってます。

またしてもロン毛、赤バンダナの兄貴が。

・・・スープが水色っていうのはチョット・・・

仏像を破壊した者が行く地獄。

今度はロン毛、赤バンダナの兄貴が4人も

刺されたり焼かれたりも辛いが、この兄貴に責められるのが何よりも辛そうに思えるんですけど。

出ました!タイ地獄のお約束。トゲトゲ木登り地獄。

ああ、浮気をするとこうなる、つー事なんですね。

お布施を渋ったり年寄りに食事を与えないと舌を引っ張り出されちゃうんですか。そういえばタイでは皆さん一生懸命お坊さんに食事を布施してますなあ。

家人をほったらかしにして酒ばっか飲んでると煮え湯を飲まされます。それにしてもここの地獄のファイヤーはカラフルですな。

というわけで全部で13の地獄世界レリーフがあった。

現世の悪行と比較してあるレリーフが10個だったので十大地獄、という事なのだろう。

 

さあ、地獄に行きたくなかったら、仏様の教えをよ〜く守って皆仲良く暮らしましょう、というオチ(だと思う)。

さあ、象さんも牛さんも御一緒に〜

不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不綺語、不悪口、不両舌、不貪欲、不瞋恚、不邪見〜

さて。

すっかりどんよりとした気分になったところで爽やかな大仏さんを見上げる。

高さ42メートルはタイ最大の座像仏である。コンクリ造で表面はイタリア製の金色のモザイクタイルが貼られている。

1974年製。

残念ながら大仏さんの中には入れないが台座までは登れるようだ。

大仏さんの足元には拝所があり、占いルーレットマシーンが並んでいた。

大仏さんの前には池があり広々とした公園のような造りになっていた。

境内には十二支のコンクリ動物が点在している。

右の虎(豹?)なんか本物だったら即、皮を剥がされそうな柄で素敵だ。

境内の隅の目立たないところにはこんなむっちりと肥えたお方も。

いわゆるタイの人がいうところの中国仏という仏像だろうか。

大仏さんの台座に登ると人々がコイン投げをしていた。

後ろ向きにコインを投げて大仏さんの手の平に乗れば幸せになれる、というもの。

挑戦してみたが意外と難しく、周りの失笑を買ってしまいました・・・

大仏さんの正面には真直ぐに延びた未舗装道がある。将来はここが参道になるのだろうか。


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