ワット バンプリー ヤイ クラン/サムプラカン県

WatBangPhliYaiKlang/SamutPlakan


サムプラカン県郊外の街バンプリ−。

そこにはタイの地方都市の典型的な街道筋の光景が繰り広げられている。

車の修理屋、小さな町工場、建材屋といった荒っぽさ満点のささくれた男気街道が続く。

そんな街の向こうに立派な寺が見えてくる。

日本を出発して20数時間。泰国珍寺修業の最初の舞台となるワットバンプリーヤイクランである。

・・・20数時間というと凄く遠いところにあると思われるかも知れないが、移動時間はその3分の1。ほとんど宿での睡眠時間ですから。

実はバンコクから車で小1時間程の実にお気楽なところにある寺でした。

ちなみに今年開港する新☆バンコク空港もこの近くにあります。

 

いきなり入口では派手な獅子のお出迎え。門を潜るとお釈迦様がウエルカムお布施をしていて軽いジャブをかましてくれる。

ああ、この色彩、この抜けた感じ。これぞタイ仏教ナリ。善き哉、善き哉。

 

寺の境内には人工の池があり、お堂が池の上に建ってたりして良い感じ。

池ではもちろん参拝客の投げる餌を待つナマズが上へ下への大モッシュ状態。見たところ餌を投げ込む参拝客などいないのだが。

右の素敵なイラストは境内で商売をしている占い師の看板だったみたいです。

 

さて、いよいよ本堂に近付く。

いよいよ修業の場である。プミポン国王の肖像画の後方にある茶色い屋根にボスキャラ、それもとてつもないボスキャラが控えているのだ。

一歩一歩慎重に歩を進める。

本堂の入口には銃を持った兵隊がいる。その兵隊の隙をついて内部に侵入すると・・・

出たあ〜。

これがこの寺のボスキャラであり、タイ最大といわれる寝釈迦さんだ。

その長さ53メートル

かつては露座、というか露寝だったというが、今は豪邸に住んで悠々自適。昼下がりのけだるい時間をアンニュイなお顔で過ごしてらっしゃる。

涅槃像の基本チェックポイントの足の裏。しかしここの寝釈迦さんは何も描いていないようである。

 

タイ寺院名物、ルーレット式占いマシーン

コインを入れるとクルクルクルっと灯が点滅し止まったところの数字からおみくじを引いてください、という他愛もないモノ。

自分の生まれた曜日によってマシンをチョイスするらしい。ちょっと見、ガチャポンが並んでいるみたいで可笑しい。

 

乾季なので嫌な湿気も少なく御機嫌な様子の寝釈迦さん。

タイではよく三角形の枕を売っているのを見かけるが、このように使うのかあ。

寝釈迦さんにひとつ教えられました。南無寝釈迦仏 南無寝釈迦仏〜。

寝釈迦さんの裏手に廻り込むと・・・

むむむむむ!これは!

 

何と!胎内巡りではあ〜りませんか〜!

胎内巡り不毛の地、タイにおいて胎内に入れるとは嬉しい限り。さっすがタイ最大の寝釈迦である。

ではでは早速入らせて貰いますよ。

 

 

中に入ると、1階は地味な部屋が並ぶだけの空間で、いきなりガッカリしたが、階段を登って2階に上ったらアラびっくり。

壁という壁、柱という柱にイラストがびっしり描き込まれているではないか!

膨大な数もさることながら、枠に縁取られたひとつひとつの絵の内容の濃いことよ。

2階から外を見る。丁度三角枕の頂点付近にいるようだ。

 

これらの精神的震度5強の絵は恐らく仏教説話をベースにして描かれているのだろう。

しかしタイ仏教の知識ゼロ、タイ語解読不能のワタシには何がなんだかさっぱり解らん。

しかし、元々お寺に描かれているイラストは字の読めない人にも仏教の説話や教えを知ってもらうために描かれたもの。

よしっ!イラストからタイ仏教の神髄を読み取って見せようじゃあないか!

というわけでチャクラ全開にして深遠なる精神世界への絵解き旅に出かけて来ま〜す。

 

 

あ、これはカンタンですね。

ズバリ、家も車も家電もおとうちゃんの双肩にかかっている。

頑張れ!とうちゃん!

働け、とうちゃん!

エロマッサージばっか行ってんじゃねえ、とうちゃん!

4人目も産まれるぞ!

という事でしょう。

 

うむむむ・・・

コレは難しい・・・ポクポクポク・・・チーン!

あっ!解った!

これはズバリ

「SM瞑想は身体に良くないぞよ」

ということで。

裸だと蜘蛛の巣にかかりやすいので気を付けましょう。

という事かあ?

火事になったら逃げましょう。

でも壁を乗り越えるより扉を明けた方が早いのでは? 

あ、もしかしたら逆に中に入っているのでは。

火中にて栗拾い、ですかあ?

 

クレーン作業は安全第一で。

クレーン操作には免許が必要です。

その実施試験の様子。

魚は血が滴る位のものが生きが良くて美味しいぞ。

無理なダイエットは危険です。

 

 

骸骨の標本はスタンドがないと倒れてしまいます。

 

おっと。

最初の部屋を出るとずずずい〜っと奥まで空間が続いている。さすが寝釈迦さん、座りや立ちの大仏さんと違って奥が深いですなあ〜。

柱や壁が微妙に寝釈迦さんのフォルムをトレースしているのがおわかりいただけるだろうか。

下の画像は三角枕の部屋から足方面を撮ったもの。右側の壁が丁度寝釈迦さんの胴体正面部分にあたる。

 

イラスト攻撃はまだまだ続く。

 

 

 

料理を味わうには舌を出してナメナメしなさい。

ホラ、蛇もそうしてるでしょう。

 

 

歌は目と耳で聞きなさい。

あと耳毛の処理はこまめに。 

 

 

これは簡単ですね。

「花の臭いは鼻で嗅ぐ」

ダジャレです。

 

 

愛で手に入れられるもの。

金、宝石、女、家、車。

そっ、そうだったのか、愛さえあれば・・・

 

 

手の大きい人に注意。

あ〜、自分で何いってるか訳わかんなくなって来た〜。

 

なーんて、イラストを見ているとあっという間に時間が過ぎてしまう。

一番奥には一層怪しげなイラストが。

 

そう。皆さんお待ちかねの地獄コーナーです。

赤くペイントされた室内はやはりイラストで阿鼻叫喚の世界を描写している。

地獄の釜を真上から見た図。吸い込まれそうなスケール観の作品である。

丁度この辺りが寝釈迦さんの足の裏の内側辺りになっている、はず。

タイ地獄界の基本アイテム「トゲトゲの木に登って鳥に苛められる亡者の図」もありました。

地獄の住人。

何だか70年代のカルトムービーに出てきそうなノリだなあ。

 

一体、どこからこの巨大な空間を埋め尽くそうという偏執狂的なエネルギーが沸いてくるんだろう。

もしかしたら、涅槃像を造った人と胎内をイラストで埋め尽くした人は違う人物なのではなかろうか。

そう思える程、このイラスト尽しの空間は特異だった。いや、寝釈迦の胎内巡りも充分特異的だが、指向のベクトルが違うっていうか・・・

 

さて、イラストに圧倒されてしまってかすみがちだが、タイ国では数少ないコンクリ仏胎内巡りの様子もお伝えせねばなるまい。

2階の先端の地獄コーナーまで行って再び頭部の方に戻るとさらに階段があった。

階段を登ると突き当たりになっており、丁度寝釈迦さんの右腕の付け根辺りだと思われる。

で、その先は金網が張ってあって入れなかったが小さな仏像が1体置かれており、そこをめがけてお賽銭が投げ込まれていた。

で、振り返ると3階の全貌が現れる。

3階は2階に比べやや奥行きがなく階高も低め。そして注目なのが、さらに上に階段が延びているではないか!

 

天井を見上げれば彎曲した柱が集まっていてクジラの胎内にいるかのような気分になる。

マトモな建物ではまずお目にかかれない胎内巡りの醍醐味である。

さらに階段を上ってみる。

そこは1部屋だけの小さな空間で4階というより3階のオマケみたいな部分。

そしてそこには金箔がびっしり張られた変な生物のようなレリーフがあしらわれていた。

はい、お判りですね。

寝釈迦さんの内蔵であります。

寝釈迦だけに内蔵も横向き。御丁寧に腸や肝臓まで付いている。

そしてやけに大きな心臓には特に念入りに参拝者によって金箔が貼られている。

身の丈53メートルの割にはちっちゃい内蔵だが、いちいち内蔵まで造り込むその妙なリアリズムに感服つかまつりました。

先に述べたようにタイ国内には胎内巡りのケースが少ない。

従って日本の胎内空間を持つコンクリ大仏大観音のように先例に倣って、という訳ではなく一から試行錯誤しながら造り上げた大涅槃像で、内蔵をつくってしまうのもその表れなのだ。

 

3階の壁面には覗き窓のようなものがある。衣で隠れて外から見た時は全然気付かなかったが、薄い衣なので中からは外が良く見える。

真剣に祈っている人を正面から見るというのは、何だか自分が拝まれているみたいで妙な気分でした。

寝釈迦さんの心臓をきっちり拝んでから外に出た。

大変満足のいく修業であった。

 

寺の庭にあったトゲトゲの木。

地獄に行ったらこんなのに登らされるんでしょうか。


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