雨乞い地蔵/山梨県



山梨である。

甲府である。

きっかけは偶々訪れたこの博物館の展示である。



強請祈願とやまなしの雨乞い

山梨県各地では雨乞いのために神仏の像を燃やしたり燻したり水をかけたり川に沈めたりと散々な事をするのだという。

これらを総称して強請祈願というのだそうな。

確かに日本各地には神仏に対して苦痛を強いることで願いを強制的に叶えさえるという習俗が存在する。

地蔵を縄で縛ったり味噌を塗ったりするのもその一例だろう。

当サイト既報のロウソク地蔵などもその一例と思われる。




こちらは平成25(2013)年甲斐市での46年ぶりに行われたという雨乞い神事(山梨県立博物館のリーフレットより転載)。

皆さんバンバン水かけてます。

会場では昭和40年の雨乞いの映像も流れていたが、そちらはもっと強烈で、仏像を川に放り投げていた。

特に甲府盆地周辺では神仏に対して水責めや水断ちあるいは火責めの習俗が多いという。

虐めれば虐めるほど雨が良く降るのだという。




神様仏様を虐めて御利益を得ようという思考そのものに興味を持ち、色々と調べてみた。


その中で興味深い事例があった。

それが今回紹介する甲府市の雨乞い地蔵なのだ。





雨乞い地蔵は甲府市街の南にある。

サッカー好きの方ならヴァンフォーレ甲府のホームスタジアムの小瀬スポーツ競技場の近くと言えば判りやすいかも。

甲府駅から小瀬スポーツ競技場までバスで行き、その後はテクテクと歩いて現地に向かう。

ちなみにこの日は気が狂うほど暑い日だった。

なんなら今すぐ雨が降ってくれても構わないのだが、生憎一滴の雨も降りそうにない激快晴であった。暑ーっ!





クラクラしつつ歩いて目的地に着く。

浄恩寺というお寺の前のにその地蔵はあるという。


一体どこにあるのか、しばらく探してみると…




寺の前の普通の水路の側溝の中を覗いてみると…。




おおお!おりました!




農業用の水路の中にお地蔵さんの石像がいらっしゃるではないか。

プラスチックのケースの中で水に浸かってる。

ちなみに農業用水は綺麗な水であり、ドブではない事は強調させていただく。




同じ籠の中には正体不明の石の塊があった。



ここで浄恩寺の住職に話を伺う。

いわく

他所では雨乞いの地蔵というと川に持って行って水をかけるパターンが多い。

しかしここのお地蔵さんは逆で、普段水に浸かっている状態のお地蔵さんを乾かすことで、お地蔵さんが水気を欲して雨を降らせる、という解釈らしい。


元々このお地蔵さんは境内にあったのだが、お寺自体が真言宗から浄土真宗に宗旨替えを行ったため寺の外に出したのだという。

浄土真宗は祈願を行わない宗派だからだとか。

で、今は地元の人が年に一度、10月に水から上げてお堂に祀るのだという。

雨乞いの行事自体はしばらく行われていないそうだ。




なるほど。水路の近くに小さなお堂がある。




ここにお地蔵さんをお祀りするわけですな。


かつての水路は左右が石積みで下は泥だったのだが、毒性のある貝が増えてしまったので今はコンクリートで覆われてしまった。

昔は祭りが終わると水の中に投げ込んでおり、それが原因で首が取れてしまい昭和60年に新しいお地蔵さんに取り替えたのだとか。

ちなみに一緒に籠に入っていたものは近在の人が彫ったもので雨乞いとは特に関係ないそうな。




昔は近所の子供たちが祭りを楽しみにしていたというが、今ではあまり興味がないそうだ。

このエリアは宅地開発が進み子供の数は増えているというが他の楽しみも増えているので仕方ないですな、と住職は寂しそうに語っていた。


そりゃ雨乞いよりJリーグの試合の方が楽しいもんね。





2024.07.
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