和歌の浦の謎大仏/和歌山県



和歌の浦である。

わかの浦に 潮満ちくれば 潟をなみ~、でお馴染みの万葉の世からの景勝地である。



そんな和歌の浦を車で通りかかった際、こんな光景に出くわした。



おおおお、山の上に大仏さまがいらっしゃるじゃないの!

日本中の大仏をくまなく網羅しているはずの私がこの大仏さんはノーマークであった。




これは今後の予定をぶっちぎっても是非謁見せねばなるまい。

というわけで急遽大仏参拝ミッションを計画することにした。


一旦、和歌の浦港に出てみる。



港からもよく見えるが、一体どうやって行くのだろう。

取り敢えずお腹もすいたし、漁港のおっとっと市場で海鮮丼を食べつつ独り作戦会議を練る。

地図を見ると、この大仏さんの名称等が一切出てこない。

お寺の境内とかそういう場所ではないようだ。

というか山の中にポツンとある。

うむー。

取り敢えず直下まで行ってみよう。

以上作戦会議終了。いい加減だなー。

あ、海鮮丼は美味しかったです。はい。



待っててくださいよ~!大仏さま~。




港から大仏まではゆるい上り坂の道を歩いて行く。




カーブの先にトンネルが見えてきた。




トンネルの横にもうひとつ古いトンネルが見える。

どうやら古いトンネルの方から海側に行けば大仏さまの方に行けるような…気がする。




と思ったら、古い方のトンネルは立入禁止になっていた。




これで詰んだか、と思ったが取り敢えずトンネルを抜けて他のルートを探す。

するとトンネルの向こう側からは古いトンネルに入ることが出来た。



旧トンネルは現在使用されておらず、物置のようになっていた。




最初はレンガ積みだったが、進むにつれて岩壁がそのまま露出した凄いトンネルになって来た。




トンネルを出ると、獣道のような道がある。




コンクリートの門柱。

真新しい大仏さんには似つかわしくない門柱だ。

その先の手すりもかなりボロボロだった。

恐らく戦前のものだろう。

なるべく手すりから離れて進む。




徐々に上がっていく。

方角的には間違いなく大仏さんに近づいているはずなのだが、木が生い茂っていて良く判らない。




途中あちこちに松の木が植樹されているようなので、まるっきり放置された土地ではないのかもしれない。

いや、雰囲気はまるっきり放置されてるっぽいのだが。




そうこうしているうちに大仏さんが目の前に現れた。

とはいえ大仏さんにいたる道がない。

仕方がないので最後は斜面を這うように無理矢理登って何とか大仏さんに辿り着いた。


何故そこまでするかって?決まってるじゃん。そこに大仏があるからだよ。




到着。

お初にお目にかかります。

合掌。



金色に輝く大仏さま。

お像の具合や建物の様子からして建立して間もない感じだ。

聖観音像なのだろう。




後ろ姿。

下の建物含め一切の説明がなされてないので何の為にこの場所にあるのか、一切不明だった。




大仏さんの背後には物凄く狭いコンクリートの通路があった。

この道が大仏さんへの正式なアプローチだったみたいだが、その先は思いっきり個人の敷地のようだ。




大仏さんの見ている風景はこんな感じ。

海の向こうは多分船尾山。


旅の途中、思いがけず知らない大仏さまに出会えて大満足であった。



戻ってくるときに気付いたが旧トンネルを出たところにコンクリの柱が建っていた。

一番上の字は東、ですかねえ。

あとは全然判んないです。

先程の門柱や手すりといい、かつては何か別の施設があったのだろうか?

新トンネルを潜って港側に戻って見てみる。



うわ。メチャメチャ腐食してるじゃん。

端っこ歩かないで良かった。


港に下りてみる。



小さな祠があった。

その後ろの柱は鉄筋が露出し、結構危険な状態に。


一体何の施設があったのかは判らないが、この先にかつては旅館があったので、そのアプローチの為の遊歩道だったのかも知れない。




遊歩道の下にもコンクリの構造物が。

こっから先は私の管轄外となりますので、廃界隈の方々にお任せしてひとまずお開きとさせていただきますよ。



2024.03.
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