つくりもん/富山県福岡町
えーと。 最初におことわりしておきますと今回はお寺じゃありません。 久々の祭りネタ、しかしお祭りそのものにも行ってません。 とにかく面白かった!という事で。
高岡市に程近い福岡町に実に奇妙な祭りがある。 その名をつくりもんまつりといい、毎年9月に行われている。 常々この祭りを見てみたいと思っているのだが、中々日程が合わず毎年悲しい思いをしていたのだが、JR福岡駅の建物の中に福岡町観光物産館というスペースがあり、そこで祭りに出展している「つくりもん」を常設展示しているというのだ。 祭りじゃなくてもつくりもんが見れるとは嬉しや、嬉しや。 さて。ここでつくりもんの説明をチョットだけさせていただく。 もともとこの祭りは地域のお地蔵さんを祭る際に地蔵さんに供えた農作物を使って様々なカタチを作りはじめたのがそもそもの始まりとされる。 そして今や供え物の野菜の方が完全にメインになってしまった。 そこで思い出されるのが以前訪れた平田一式飾りである。 平田の一式飾りに代表されるようにつくりもん、一式飾り等と呼ばれる見立て細工は陶器や漆器、衣類や仏具などで構成されている。 かつて江戸の見世物で魚を釈迦三尊像に見せた見立て細工があったとされるが、私が知る限り野菜での見立て細工はここだけではなかろうか。 祭りに見立て細工を展示するのは西日本を中心に比較的ポピュラーな事例だが、何故福岡町だけが野菜なのだろう。 それ以上に祭りが終わったら野菜はどうするのだろう?まさか捨ててしまうのでは・・・ そういえば野菜の見立て細工を常設展示するって・・・腐らないのか? などと様々な疑問を抱きつつ福岡町に向かう。 福岡駅は最近できた奇麗な駅である。何かの景観賞を受賞したらしい。 駅舎の中に目指す観光物産館がある。 早速中に入ってみると・・・ おりまする、おりまする。 これらのつくりもんはかつて野菜でつくられたものを樹脂加工したものだった。 ・・・つまりつくりもんのつくりもんですね。 中央の一番大きなつくりもんは蘭陵王という伝統芸能の舞の衣装である。 野菜の見立て細工としては最高レベルのものではなかろうか。 頭部。カボチャをベースにシシトウ、ニンジン、唐辛子などがエッジを飾る。 まさにアルチンボルトの絵画から抜け出して来たような作品である。 胸部と腹部の飾り部分。赤ピーマン、サヤエンドウ、唐辛子、カボチャ等で見事に飾り模様をつくっている。 上の衣装は全体にタマネギの皮を貼り付けモコモコしたマティエールを表現する事に成功している。 足の部分には豆が全面に貼り付けられ、模様は練り物か菓子か。サヤエンドウのワンポイントが効いている。 その他、いくつかの小品が展示されている。どれも脱力感10000パーセントのすんばらしい作品ばかりだ。 ナス、カボチャ、白菜、キュウリ、蓮根、サツマイモ、トウモロコシ、オクラ、白豆、ミョウガと夏から秋の野菜がふんだんに使われている。 館内には今年行われたつくりもんまつりの写真も飾られていた。 以下はつくりもんの写真の写真である。 鯉の滝のぼり。かなりの種類の野菜が使われている事が判る。
この辺りがつくりもんのマックスサイズだろう。胸毛がキュート。
御存じ高岡大仏もつくりもんの手にかかればこの通り。螺髪が・・・
あの富士額の小鼠とその彼女である。顔が日章旗状態。
富山といえばおわら風の盆。男衆の足が実にイイ。
このように様々な素材を色々なカタチに変身させる不思議なつくりもんまつり、いつか必ず行きたいものである。 ところで。 最大の疑問である祭りの後の野菜の行方だが、つくりもんまつりに詳しいカールさんによると捨ててしまうらしい。 ただ、中にはこっそり食べちゃう人もいるみたい・・・
つくりもんまつりの様子をさらに詳しく御覧になりたい方はカールさんのページを御覧下さい。
2003.11.
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