桜の名所、飛鳥山公園(回転展望台なくなっちゃったんですねえ。アレ好きだったんだけど)の前に何軒かの飲食店が固まって横丁を形成している。
その横丁の一画にある、お寺といえるかどうかもわからない廃虚の話を。
この私設(たぶん)寺院、大きく分けて正面左から瓦屋根のお堂、観音堂、庫裡(僧侶の住居のこと)の3つのパーツから出来ている。全体像は植物に覆われていて、はっきりとした全容がつかみにくく、有機的に(というかだらしなく)つながってひとつの建築塊の様を呈している感じだ。
ではそれぞれを見ていこう。
まずは瓦屋根のお堂、〜本堂と思われるものなのだが〜屋根以外はコンクリートで出来ており、その壁のくすみ具合から小さいながらも中国の石造寺院をも彷彿とさせる力作だ。
次に観音堂。ここは横丁の通りに面していて今でもお参りする人がいるらしく、新しい千羽鶴が納められていた。この建物の中では結構普通。
その隣が庫裡(坊さんの住居部分)。これがすんごい。コンクリート打ち放しといえば聞こえがいいが、どちらかといえばコンクリート擦り付け放し。
建主が一人でペタペタとコンクリ擦った感じのセルフビルド魂にあふれたマチエールがたまらない。
これが壁と屋根の区別も付かず、アンフォルメルな塊の大部分となっている。植物に覆われてて良くわからないけど窓ないみたいです。マッド系・・・・
このお寺に関してまず気になったのは瓦屋根のお堂の向きだ。
このお寺の敷地は横丁の一番左端に位置しているのだが(お寺といっても普通の住宅程の面積で間口十数・、奥行き4〜5・程度、ちなみに敷地の左側は空き地になっている。さらにその空き地の左は大通り(明治通り)になっている)、横丁の通りに対して右 向きに建っているのだ。
普通、お寺の本堂といえば開放的に外に向かって建っているものだがここではなぜか横を向いてしまっているのだ。
ましてや大通りから空き地越しにここを眺めると背を向けた格好になるので、どうしても排他的な印象を与えてしまう。
また敷地が狭いので、その隣の(観音堂の後ろにある)建物との間は1・程度しかない。
なぜこんな不都合な格好でお堂を建てたのか、不思議に思い暫く眺めていると、その隣の建物の、お堂に面した辺りに茶室のにじり口のように小さな開口部が見えた。
その先は奥まで続いているようだ。さらに全体を眺めて見ると、植物に覆われていて良く分からなかったのだが、その建物は庫裡とつながっているようだ。 ということは、このお堂は外の道から直接お参りするものではなく、
一番右側の庫裡の玄関から入ってその建物の中を通って、にじり口のような小さな開口部からお参りするようになっているのだ。
その参拝の様を想像しただけでゾッとした。庫裡からそのにじり口までの間はまるで坊空壕のような暗い半地下の回廊なのだ。
ここは一体何のお寺なのか、はたして本当にお寺なのか 、トーチカのように内向的なコンクリートの塊は謎を呼び放題呼ぶのであった・・・・
さらにこの建物のうえに柱をぶっ建てて普通の住宅が建っている。これも謎といえば謎。お寺の上にウチ建てるか、普通。こっちには留守だったが人は住んでそうだから、そのうち追加取材しようと思います。
飛鳥山観音に関して読者の方から非常に興味深い情報をいただきました。ここについて詳しい事知っている人、ご一報ください。
追記
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