大分県が誇る日本屈指の珍寺、合掌ゲートでお馴染みの旧善徳院に再訪した。
(2002年訪問時のレポートは
こちら)
各方面から金の合掌ゲートは塗りなおされたという話が聞こえていたので確認しに再訪したわけだが、その前にこのお寺の経緯を簡単に説明する。
以前訪問した2002年時点ではこのお寺は善徳院と呼ばれており、建設途上であった。
その後、持ち主の経済的理由から福島県の正雲寺の手に渡り、現在では
正雲寺の大分分院ということになったのである。
(福島の正雲寺のレポートは
こちら)
というわけで新生合掌ゲートはどうなったのか、境内の様子はどうなったのか、期待と不安がない交ぜになりつつ山道を進んで行くのであった。
道中現れた看板。
かつてのものだろう。
しかも善徳院ではなく涼山泊とある。うむむ。善徳院と呼ばれる前に
もうひとつの歴史があったのだろうか…。
走行しているうちに旧善徳院、現大分正雲寺が見えてきた。
桜の花の合間から馬頭観音が見えてきた。
おお、お懐かしゅうございます。
変わらぬご様子で安心しましたぞよ。
と、近づいてみると…
おおお、噂には聞いてはいたがかつて金色だった合掌ゲートが
白く塗りなおされているではないか!
(ビフォー)
(アフター)
…かつて指摘したが、この合掌ゲートの袖、法衣とかじゃなくて
トレーナーっぽいすよね。
それが白く塗ったことでより一層トレーナー度数がアップしちゃいましたね…。
ゲートを潜ってみるとその様子は一変していた。
かつて境内でブイブイいわしてた金色の龍は…
(ビフォー)
すっかり消えてなくなっていた。
(アフター)
合掌ゲートの脇に立つ馬頭観音は健在でした。
金の龍は消えたもののその奥にある大観音は…
(ビフォー)
健在でした。
かつて明星大観音と呼ばれていた大観音は由布大観音と名を変えていた。
合掌ゲート同様、本堂も真っ白に塗られてました。
真っ白すぎて異様。
本堂の内部も真っ白。
何と言うか、居抜き物件のお寺なれど
全てゼロからはじめよう、という意気込みだけはビンビン感じますよ。
かつて不動明王が立っていた部分も白く塗り替えられ、のっぺらぼうの石塔と宝篋印塔が置かれていた。
さらに未完成の千手観音がいた場所には…
(ビフォー)
お地蔵さんが立っていた。
(アフター)
突っ込みどころ満載だった数々の仏像は減ってしまったが決してスペックダウンしたわけではない。
美術館や…
展望台などが作られていてより敷居の低いお寺になっている。
基本的なアイテムは変わらないのだが、お寺の有り様としては随分変わってしまったような気がする。
端的に言えば以前の善徳院は
独善的で前のめりな疾走感があったが、現在の正雲寺はペット供養や悩み相談といったソフト路線を充実させ裾野を広げようとしている。
印象的だったのが本堂脇にあったこのメッセージ。
檀家とか信徒ではなく、
「ファン」
お寺に集う人をファンと捉える斬新な感覚に唸らざるをえなかった。
多分、現代社会の寺院経営の方法としては正解なのだろうし、廃棄されようとしていたお寺が再生されたのだから良いことづくめ、なはずなんですよね…。
でも、どうしてもこのお寺が放置され、朽ち果てた姿を想像して、うっとりしている自分がいるんだよなー。
いや、今の状況が悪いと言っているんじゃないですよ。私がヘソマガリなだけですからね。
でもなー…。
大分正雲寺のホームページは
こちら