清水岩廟;その2/ChinSweeCavesTemple;2





マレーシア版タイガーバームガーデン、清水岩廟。

最大の見どころは崖に張り付くように展開されているジオラマ脳内楽園である。





前回左サイドを紹介したので今回は右サイドを御案内。

上画像中央の赤い東屋と右端の大仏さんの間にある崖の部分は4層になっていて、そのうち上3層が
立体地獄となっているのだ。


作り物の岩壁がわざとらしくて遊園地っぽいが、そこがまた異界っぽさを演出しているのでヨシ。




ここは
十殿閻君と呼ばれ、死後の裁きと地獄の責め苦を交互に等身大スケールのコンクリ像で説明している。

道教や仏教では一般的に死後の裁きは10回にわたって行われると信じられている。


この十殿閻君も10個のブースに分かれていて、それぞれの裁きの様子を表しているのだ。


順路とは逆に進んでしまったので、以下紹介するのは十殿から九殿、八殿、七殿…と実際の裁きの順番と逆のカウントダウン形式になっているので御留意いただきたい。




まず現れるのは巨大キノコの下で記録をつける書記係。これは十の裁きとは別扱いで、順番的には死後の裁きが全て終わった後の事務処理の光景のようだ。





傍らには、鬼が帽子を掲げている。アナタの来世での身分が確定しました、的な意味なのだろうか。




というわけで時系列が逆でややこしいが、ここからいよいよ十の裁きのはじまりはじまり~。


まず最初は十殿、裁判官は轉輪王



一般的な十王信仰の上では五道転輪王と呼ばれる王(裁判官)だ。

いわば最後の裁き、最高裁のようなもので、来世で何に生まれ変わるかを告げている御様子。

水色の服を着た亡者に轉輪王が「コレ、お前の来世の兄弟な!」と犬を紹介しているの図、なのかな?




お次は九殿。裁判官は平等王




お隣で裁きの様子を伺っているのは
謝将軍。死者の裁きのシーンには欠かせない人物(?)だ。
チャームポイントは長い舌。





で、お隣では早速
地獄の責め苦が行われている。




城門の前で鎖に繋がれている亡者。門には阿鼻地獄とある。




こんな感じで地獄と裁判のシーンが交互に続く。不自然なコンクリ製の岩がタイガーバームガーデンっぽい。






八殿都市王






隣の地獄コーナーでは
釜茹での刑を絶賛執行中!アチチ…







七殿泰山王



一般には死者は最低7回の審議を受ける。そこで判決が出ない場合に上記の8、9、10審へと進むのだが、大抵はここで結審なのだとか。

あの世に行った事ないからよく判りませんが、そういうことになっているそうです。


 で、神を敬わない者は頭を鋸で挽かれる。





この地獄の最大の特徴は
責め苦を受けている亡者の表情だと思う。

イマイチ痛そうな感じが伝わってこないんだよね~。

見ているだけのこっち側としては無責任にも
「おいおい、もうチョットいい表情くださいよぉ」などと注文を付けたくなってしまうほど。

頭をノコでギコギコ挽かれちゃってるんだから絶叫でしょ!絶叫!




↓このお方など火にかざされているのに「おっ!いい女っ!」的な表情。
真面目にやれ!と言いたい。








あの世の裁きは延々と続く。

六殿変城王を過ぎると悪い幻覚を見そうな巨大キノコの休憩所を経て一段下のステージに降りる。





折り返し地点からは大仏さんがよく見えた。





下のステージに降りるとそこは五、四、三殿と続く。

ここでもこってり風味の地獄の責め苦が展開されている。




不倫男女のペア責め苦。火柱を登るの刑。

これがタイの地獄になるとトゲトゲの木に登らされる刑へと姿を変えるのだ。

    

手前の御仁は責められ過ぎでグッタリしちゃってますね。


地獄の獄卒は牛頭、馬頭と鬼が担当している。コレは牛頭。






五殿。ここでは森羅王と称されているが、一般的には五殿といえば
閻魔大王ですよね。







血の池地獄と餅つき地獄。




こちらも表情にやや真剣味が欠けますねえ。




餅つきも足踏み式ですか…。





四殿五官王



ここにも謝将軍がいるが先程のとは作者が違うみたい。





三殿宋帝王







激しい地獄の責め苦が繰り広げられている。




ここでもいたって冷静な表情。




内臓を引きずり出されてもさめざめ泣く程度。いいのか、それで。





あ、この人はチョット痛そうですね。イイ表情、頂きました!





城門の上には処刑済みの生首が並んでいる。











そんなこんなでさらにもう一段下のステージへ。


マレーシアを代表する高原リゾート、のすぐ近くだけに
仏教徒以外の観光客の姿も多い。

アラブ人一家がゲラゲラ笑いながら記念写真を撮っていた。



そりゃ敬虔なイスラム教徒であろう彼らにしてみればコレが宗教施設だとすら思ってもいないだろうよ…。





てなわけで二殿。担当は楚江王(一般的には初江王)。




で、地獄コーナーは血の池地獄。



いい湯加減のようで皆さん
凄く気持ちよさそうなんですけど…。



氷山の合間に挟まれる、の刑。一生懸命感情移入してみるのだが、いかんせん皆さん気持ちよさそうなんだよねえ~。





そしてラスト(というか実際には初七日の最初の裁判なんすけど)一殿泰廣王





道士らしき人が浄玻璃の鏡を見ている。




死後7日目、
死者としてはまだまだ新人なのでチョットビビッてますね。




で、その一殿に連れて行かれる死者。




恐怖に顔を歪めまくってます。




これが裁判を重ねていく内にどんどん慣れていき、終いには激しい地獄の責め苦さえ無表情で受けることができる
地獄の達人になっていくのです。



…という冗談はさておき、ここの地獄だけでも複数の造型師が存在しているようだ。

無表情な者と表情豊かな者、勿論造型スキルは後者の方が高いのはいうまでもない。

でも結局一通り見終わって印象的だっのは
無表情に責め苦を受ける亡者の方だった。

もちろん意図した訳ではないのだろうが、無表情に目をえぐられる像なんか目茶目茶シュールだったぞ。



で、最後に第一審を受ける前段階の事務処理的なシーン



亡くなった直後の段階で首かせをはめられている。つまり死者は最初っから罪人扱いということなのか。


これにて逆周り版の地獄&十王殿巡りは終了。

全体はこんな感じ。





そういえば日本では地獄といえば極楽がつきものだが、中華圏の地獄巡りではあまり見られない。

むしろ
地獄一点で攻めてくる傾向が強い。

この辺の比重の違いは実に興味深い。

というか、ことさら極楽を強調するのは浄土思想の発展した日本ならではの考え方なのかもしれないがそれは今後の宿題ということで。





一番下の層には羅漢サマの石像がズラリと並んでいた。



最後に
大仏さんにご挨拶。



かなりの大きさだが、地獄のインパクトが大きすぎて存在感はイマイチでした…。





この後、贅の限りを尽くした本堂やホテル並みの宿坊や食堂を見学、あまりにも広くて全部見ることはできなかったよ。

恐るべし華僑パワー。




参照;清水岩廟のホームページはこちらです

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