BatuCaveTemple;KualaLumpure
さて、いよいよ馬来半島珍寺伝説最終ステージ、舞台はマレーシアの首都クアラルンプールである。 つい最近まで世界で一番高いビルだったペトロナスツインタワー(それにしても極楽寺の萬佛寶塔に似てるんだな、これが)のあるクアラルンプール中心街から北西に車を走らせる事数十分、中古車屋やしょぼくれたレストランなどが点在するいかにも郊外といったエリアにさしかかる。これでバッティングセンターとユニクロとコジマ電気があったら気分は北関東あたりをドライブしているような雰囲気だ。そんな風景の中、忽然と山が現れる。 周囲が平地なのになぜかこの一帯だけが隆起して山になっている。そんなところが宗教ゴコロをくすぐるのだろう。 山の中には洞窟があり、そこはヒンズー教の聖地になっている。バツー洞窟という。 この洞窟に寺院が開かれた経緯は100年以上前に遡る。 クアラルンプールで弁護士事務員をしていたあるお方が夢で洞窟にムルガン神の寺を作れとの神のお告げを聞いた。 はい、絵に書いたようなチンデレラストーリーですね。 で、元々篤志家だったそのお方、崖の中程にあるバツー洞窟に散々の思いをして辿り着き、ムルガン神の武器である槍を洞窟内に刺したのがこの洞窟寺院の始まりだとか。で、その後階段を整備し、当地の一大ヒンズー教聖地と相成ったのである。 ちなみに行者が体中に針を突きさして練り歩く天下の奇祭、タイプーサムもここで行われる。その時はここに60〜70万人の人が訪れるというからオソロシイ。 さて、崖を這い上がっていったのも過去の話。今は立派な紅白の階段が洞窟の入口まで一直線に続いている。 今回、幾つかヒンズー教寺院を見て来たがこの紅白のストライプを外壁などに良く見かけた。日本だと開店や結婚など目出たい時の記号として用いられるが、ここヒンズー教でも何か意味するところがあるのだろうか。 階段の右に足場が組まれていた。 その足場に大きな女神の絵が書かれていたのでもしかしたら・・・と思ったらやっぱり巨大な神像を作ってました。 大きさは30メートル位だろうか。どんな像が出来るのか楽しみで仕方ないっすね。 早速、門を潜り階段を登りはじめる。 門の屋根には羽の生えた牛人間がいました。日本で行ったら半人半牛の件(くだん)ですか? 乳が前後2カ所にあるところが妙にリアリズムというか何と言うか・・・ 階段は傍から見るよりハードな道程だ。 階段には一段一段数字が書かれているので何段登ったのか一目瞭然で便利!ってゆうか全然知りたくないんですけど。 途中、猿が我が物顔に闊歩していて危険この上ない。手に持ったカメラを取られないように注意しつつ登る。 結構荷物を持っていかれている観光客の皆さんもいる。比較的治安の良いマレーシアにおいてもしかしたら一番デンジャラスなスポットかもしれない。 パスポートを猿に引ったくられました〜じゃあ、シャレにもならないですから。 で、猿の攻撃をかわしながら階段を登る事272段。やっと洞窟の入口に着いた。 階段を登りきった岩壁にはいきなり上半身がバックリ割れちゃった素敵な伯父様が出迎えてくれる。 矢が刺さっただけでこんな北斗の拳みたく割れないでしょ。普通。
で、これが洞窟の内部である。非常〜に広い、デカい、高い。 コレだけ大規模な洞窟を寺院に使ったところはチョットないような気がする。 今までに私が見て来た洞窟寺院といえば狭い暗い湿っぽい、とどうしても肉体的にも精神的にも猫背になりがちなところばっかりだったが、ここのは洞窟というより巨大なドームにいるような荘厳な空間だ。 洞窟は入口の穴と反対側にも外にでる穴がある。 下左は入口から奥を見た景色、で、右は左写真中の階段から見た眺め。 一番高いところは3〜40メートルはあろうか。その天辺近くに穴が開いておりそこから陽光が差し込んで来て荒々しい岩壁と相まって幻想的な雰囲気に満ちている。 丁度昼時だったからだろうか真上から光が注ぎ内部はとても明るかった。 洞窟内の岩壁の所々にヒンズー教の神や神話の彫像がまつられていた。これはシヴァ神。 洞窟の奥の方にはValTempleというお堂があった。最初に槍を刺したところだろうか。 その横の階段を登って行くと脇にカラフルなモノが沢山積まれていた。 これは・・・ ・・・タイプーサムで全身針だらけになって身につけているアレでは・・・ 一応、奉納って事なのだろう。そりゃあれだけ痛いおもいをしたんだから、聖地バツー洞窟に奉納してもいいわな。 階段を登りきるとそこは出口、ではなくて周囲を絶壁に囲まれた、いうなれば穴の底のようなところだった。 そこの中央には小さな建物があり、インドのヤングメーンが座って楽しそうにお喋りをしていた。 建物と比較して絶壁のドーン具合がお解りいただけるだろうか。かなりズドーン、でした。 建物にはゴープラムがあるようだがビニールシートで覆われていた。屋根の上のチビッコ4人組だけが頑張っていました。 中では何やら火を振り回してました。異教徒の私にはコレが何を意味するのか、この人は誰なのか、いわゆる坊さんなのか、それ以上に何で腰巻き一丁なのかも判らなかったが、凄くインドっぽかったのは確かです。はい。 覆いかぶさって来るようなもっさりとした質感の鍾乳石の下に入ると押しつぶされそうだ。 確かに聖地に定めたくなる気持ちはよーく解ります。スピリチュアル臭プンプンです。 再び洞窟内に戻ってヒンズーの神様鑑賞。 シヴァの2人の息子カールティケイヤとガネーシャがマンゴーを取りに行く競争をしているところ。 「先に世界一周した方にこのマンゴーをあげよう」とシヴァ神がいうと、カールティケイヤは孔雀に乗って世界を一周しようとした。一方とんち自慢のガネーシャ君、「私は父母が世界の全てだから」といって父母の周りを一回りしただけで見事マンゴーをゲットするという逸話。 この逸話の教訓;ずる賢い方が得をする。ってゆー事かあ?それよりカールティケイヤ君、その乗り方じゃあ孔雀の羽は広がらないぞ。 中には階段やミニチュアのお寺を配したジオラマチックな展示もある。 「鍾乳石が1センチ育つには何千年もかかります」という教えをすりこまれている日本では鍾乳洞にこんな事したら自然破壊ザンス!とか怒られそうなモノだが、ヒンズーパワーはそんな事は毛の先っちょほども気にしません。惜し気もなく鍾乳石をブチ削って神様においでいただいております。 洞窟から出て再び大階段をおりる。 後ろから見ると大仏、じゃなくて巨大神像の全容がハッキリ見える。 おおお、もう完成間近じゃないですか! 工法は煉瓦積みなので内部に入ってどうのこうの、というのはないだろうが、正面の絵から想像するにかなりくどめの味わいが大いに期待出来る。 中々荘厳な洞窟寺院で奇麗にまとまったところで馬来半島珍寺伝説、そろそろお開きにしたいと存じます〜 ・・・と思ったら、洞窟の隣にまだ続きがあったのだ!
バツー洞窟その2へGO!馬来半島珍寺伝説
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