鎌倉に不思議な処ありけり。
以前、車中から偶々見かけて、ずーっと気になっていたので改めて見に行ってみた次第。
鎌倉から逗子方面に向かう街道沿いにある。
多分鎌倉からまんだら堂やぐら群や名越切通へ行く人は大抵目にしているはずである。
記憶にない方はきっと甘〜いデート中で、
目にしたけど見なかった事にしていたんだと思う、多分。
だってこんな素通りを許さないような勢いの看板なんですよ。
瘡守稲荷、という神社?なのかな?
他にも薬師、厄除不動尊、身がわり鬼子母神 番外札所千手観音といったパワーワードが並ぶ。あれ?お寺なのかな???
そして中央に堂々と大書された
癌除の文字。
その脇に小さな字で「瘡守様はおできの類・諸病一切の救護・神です」と書かれている。
瘡守、というのは疱瘡除けの事だ。
いつの間にやら癌やおできに霊験あらたかな神社?お寺?になったようだ。
正面。
鬼子母神フィーチャー感が凄いと思ったら、ここは
上行寺という日蓮宗のお寺の一画にあるお堂だったのだ。
本堂を遥かに凌駕するインパクトだったので気が付かなかったよ…。
ズラリと稲荷大明神の幟が並んでいる。
入るのにかなり勇気の要るエントランス。
文字の勢いに弾き飛ばされそうだ。
で、結局千手観音堂なの?薬師堂なの?稲荷堂なの?守護堂なの?建物はひとつなんですけど。
マジで稲荷以外、神道的なワードが見つからねえ…。
唯一判るのは土足禁止なことだけ。
堂内には結構参拝客がいる模様。
さらに後から後から参拝客がやって来るのだ。しかも女性が多い。
若干躊躇していると、中から「どうぞどうぞお参りなさい〜」とおばさんに声をかけられた。
ここの堂守さんのようだ。恐る恐るお邪魔しますよ、っと。
内部は正面に幣束が並び、陶器の狐像が並んでいる。
上を見上げればたくさんの千羽鶴がぶら下がっており、どこか東北地方の霊場を彷彿とさせる。
お参りしていると堂守の方(だと思う)が一緒に祈祷をあげてくれた。
スミマセン、特に願い事もなく、めっちゃ物見遊山な者なのに…。
その後、このお寺の参拝作法などなど丁寧に教えてもらった。
ここに来るのは身体の悩みを抱えてくる人ばかりなので、それに特化した参拝方法があるのだ。
薬師如来にあやかって目の絵馬があった。
源・北条氏一門の病気平癒の社、とあるが、これは北条政子が
源頼朝のおできを治すためここに祈願したという言い伝えによるもの。
頼朝由来のおできを治した神様なんだー。
頼朝は歯が悪かった、というハナシはよく聞くが、おできに苦しんだというハナシは初耳だった。色々大変だったんですね、将軍様…。
折角なので上行寺の本堂の方もお参りしていく。
こちらにも瘡守稲荷ほどではないが
独特の押しの強さが際立つ看板が。
素敵すぎる七福神がお出迎え。
みなさん屈託のない笑顔ですな。見ているこっちの頬も緩んできますよ。
七福神の上には「↑有名な龍 江戸時代後期」とある。
見上げてみると…
左甚五郎作の龍だそうです。
…左甚五郎って江戸初期の人なんですけど…。