一乗院/茨城県那珂市



那珂市に日本一の毘沙門天像が出来たらしいという話を聞いたのは結構前だったのだが、それだけを見に行くのもどうかと迷っていたところ大仏好きのまんじまるさんから大プッシュされたので行ってみた。



長閑な田園風景の中にいきなり現れる巨大な毘沙門天像。


    



2007年に入仏された開眼ホヤホヤの毘沙門天像である。

あっ、言っときますけどね、仏像の開眼の瞬間に仏サマの眼前にいたら危ないですからね!ホラ、最初に見たモノを親と思い込むというアレですよ…すりこみ効果。大毘沙門天さんに「母ちゃん、メシ」とか言われたら米何升焚かなきゃいけないんだか…


かじるとスースーするのでは、と思えるほどの強烈なミントグリーンの躯体(でも緑青は毒だから食べちゃダメだよ)。

※…今調べたら緑青って毒じゃないんだって。




圧倒的な存在感である。

    




像高13メートル、台座3メートル、頭部2.3メートル。

左手の上に載る宝塔は0.9メートル

吉祥天 善尼師童子を従えてのこの雄姿。




それでは真下から拝観しましょう。

おお、グレート!



足元には邪鬼。首の関節が外れちゃってるようだが、大丈夫ですか?

大丈夫じゃないっすね…グキっ!ていっちゃってますね。グキっ!て。



その下、台座の部分には何やらいい感じの参拝口がある。もちろん入ってみようじゃないの。



内部へは懐中電灯を持って入る。

しかし真っ暗な訳ではなくやや薄暗い、といった程度。


    

先に進むと毘沙門天の手の平にあったのと同じ形の宝塔が。お参り下さいと書かれていたので素直にお参りしたよ。



その宝塔の両サイドには曼荼羅図が。これまた細かい細工で目が回るほど。



よ〜〜〜く見れば曼荼羅のフレームが全部人の顔で出来ているぞ。

    




上杉マニアならお土産に買わざるを得ない素敵なネーミングのせんべい。お土産にどうぞ。





そんなこんなであっという間に日本一の毘沙門天、拝観終了。

まあ、日本一とはいえ立像で13メートル、首が折れてヨダレをダラダラたらしているジャギ様を除けば(何か間違えてますか?ワタクシ)10メートルちょい。周囲に何もないから迫力はあるが、胎内巡りとかはないわけですよ。

ま、尤もこのサイズで「胎内巡り、やれるものならやってみろや!」とか言われても困るんですけど。いや言って欲しくない。あ、でもチョット言ってくれてもいいけど…

正直この時点で満足率は腹六分目。

まあ、こんなもんか、と帰るのも結構だが実は本題はこれからなのである。






さて、立ち話もなんですから歩きながらハナシを進めましょうか。



この先、お楽しみは色々あるのだが、その前にそれはそれはリアルな武者像を堪能されたし。

馬の血管の浮き出た具合、武者の表情、相当の手だれの作とお見受けしました。






次に現れるのは出世観音。

観音像は普通だがその前にいるお方はかなりユニーク。

    

そして堂内の一画にある絵馬。



タッチ、ドラゴンボール…何故かマンガ系の絵馬がチラホラ。


    

この時はあまり気にならなかったが、今になって思えばこの後の展開の露払いのようなモノだったのだろう。





あとは立川一門の噺家さんの絵馬もチラホラ。

これはこの寺で定期的に行われている落語会に来た噺家さんなのだろう。



で、黒御影石で出来た巨大な印鑑。




印鑑塚とある。


さて。

ここからがホントの本題です。

本堂に向かう途中、何だかやけににぎやかな雰囲気の門があるのだ。

    

天からおりてくるお守りって…一体何のことかと思ったら


↓こういうことか。



天(井)からおりてくるってことなんですね…


お守りが入っているのであろう黒い箱からは紐が延びており、屋根裏を這って滑車で今度は下に90度ターン。



ウインチぃ?!




おお、このハンドルを回すと天(井)からお守りが降臨する、という仕組みなのか。

お守りをサーブするだけなのにこの仰々しいハイテク装備ったら!

意味は全く判らないが、そのヒリヒリするようなサービス精神にただただ感動するばかりである。



そんなこんなで守り本尊が並んだ本堂へ。


    


中に入ってビックリ。あちこちに大量の絵馬が掲げられている。

    


そのほとんどは奉納者が思い思いに描いたイラストだった。


    

しかもどういうわけかチビッコが描いたものが非常に多い。

近所の遠足コースにでもなっているのだろうか。



ドラゴンボール、聖闘士星矢、マリオ、ビックリマン、パプワ君、おぼっちゃま君、抜作先生…昭和から平成に時代が移る前後の懐かしめのキャラが多い。

というか奉納された時期が昭和末期〜平成初期のものばっかり。



フィレンツエの街並み

本来、絵馬というのは願い事を記するもの、な筈でしょ。

これは絵馬じゃなくて、絵馬のカタチをした絵でしょ。


おそらく、ここに奉納されている絵馬は好きな絵を描いてくださいね、という事なのだろう。


そうなってくるとこのような事態に陥るのは時間の問題だ。

    


本堂に納まりきれない絵馬が客殿への廊下などにもあふれている。




「念」と描かれた絵馬。
高校生ぐらいの子が描いたのだろうか。こういうの描きたくなる時期ってありますよねえ〜、とすっかりオヤジ目線。




こちらは池上遼一センセ風味の絵馬。いい絵だと思うが絵馬である必要性はあるのかどうかは判らない。










    




さらにドンキもビックリの圧縮陳列が続きます。
    









SLシリーズや



    

仏恥義理系シリーズ


    

スポーツシリーズ、と様々なイラストが奉納されている。






もちろん大人の描いた真面目な絵馬もたくさんある。

    


中にはチビッコが描いた仏画もあったりしてキュンとなる。





にしてもチビッコの絵は理屈抜きに見ていて飽きないなあ。

    




一番印象的だった絵馬はこちら



日没直前に墓参りするの図。

「父さん、今日ついに俺も公園デビューしたよ…」遅!



と、まあ、茶化してみたものの、この寺に奉納された絵馬は現代の信仰について、厳密に言えば現代社会が信仰に対して持っている意識について端的に物語っているように思えるのだが、どう思われます?




住職さんと女の子とハーレー。









本堂周辺にもやり過ぎ感あふれる様々なお堂が目白押し。







合格祈願と夫婦和合祈願の祠。

    

どちらも狭き門に入れますように! …山田君〜、座布団1年分持ってって!




亀の背中で七福神の刻まれた玉がくるくる回る廻り七福神。




そして毘沙門堂。




堂内中央には運慶作と伝えられる毘沙門天



作者の真偽の程は定かではないが鎌倉時代初期の彫刻で茨城県の文化財に指定されている。

邪鬼の首ゴキッ!はこれがオリジナルなんですね。

ポスターも実写版とイラスト版の2タイプ。



イラスト版は運慶作(といわれている)毘沙門天像をモチーフにしている。




柱の上部にあるのは投入れ巾着。下から賽銭を投げて木彫りの巾着にいれてくださいな、という趣向。



投げてみたけど意外と難しかったです。


堂内には何故か演歌歌手のポスターがたくさん貼られていた。

皆さん上杉謙信並みに御活躍できたらいいですね。





さて、先程から気になっていた天からおりてくるお守りにチャレンジしてみる。




売店で「天からおりてくるのお願いしま〜す」と声をかけ、しばらく待っているとえらくリラックスしたおじさんがやって来た。

…ってさっきハーレーの脇に立っていた写真の人じゃないか!

こッ、これは、御住職様であらせられましたか、失礼をば致しました。

とはいえやっぱりふにゃふにゃにリラックスしまくりの御住職様、長年の修行の成果とお見受けいたしましたぞよ。



え〜と、何やら諸々の作法を御住職から教わったが、残念ながら頭の中が¥マークでいっぱいになっていたので良く覚えてません。

おもむろに住職さんがハンドルをクルクル回すと、キコキコキコキコ…


おおお、降りて来た降りて来た。宝金叶など魅惑の言葉に彩られた魅惑の小箱が天(井)から降臨である。



おもむろに箱の中をゴソゴソ。

「ああ、当たりだね〜」

なぬ〜!



いとも簡単に当籤を宣言をされてしまって大興奮の私。

よし、この寺を出たら一番近い売り場でtotoBIGを買えば御住職の御宣託通り、6億円が当たる、はず。

さて、問題は当ったら何に使うか、だ。

勿論、毘沙門天の隣に16メートルの広目天を建立するとして、残りは水道の修理と新しい冷蔵庫と新しいマウスと…あと何だろう?

いや、まてまて。去年も同じような目に逢ったばかりじゃないか。油断大敵。


で、素敵な七福神のイラストを頂戴しましたよ。ありがとうございました。


石像の不動サマに挨拶しつつ帰りましょうか。





と、看板を見ると、凄い七福神が写ってるじゃないですか!何なのこの人達!




さらに巨大毘沙門天の前には宇宙最強の神とか日本一の毘沙門天とか勇ましいキャッチフレーズにあふれていた。

    


色々と参拝者を楽しませようという心意気にあふれたお寺であった、満腹満腹。


で、気になるtotoの結果ですが…宇宙最強の神の運気をもってしても半分も当りませんでした。

欲の皮が突っ張って作法をおろそかにした私が悪いんです…


2008.07.
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