布袋大仏/愛知県江南市


 

名鉄の電車を見守るかのように布袋大仏は静かな住宅街の中に鎮座している。

作られたのは昭和29年。コンクリート製の大仏である。
大きさは18m、自称日本一(はたしてこの手のもので幾つ日本一があるのやら、トホホ・・・)、奈良の大仏より2m高いのが御自慢。


まず顔に注目していただきたい。かつてこれほど不味い顔の大仏があったろうか、鼻でかすぎねえか。

しかも手には桃のようなモノを持っている。

    
    

この大仏、 所謂オヤジ一人でつくちゃった系の大仏なのだ。

前田秀信というこのお方、元々病弱ゆえご利益のある御獄薬師尊を信仰し、名古屋市内で鍼灸師を営んでたのだが、昭和24年、氏が43歳の時に夢のお告げ(この辺がポイントですねえ)で大仏建立を決意。

5年の歳月を費やし完成したのがこのシロモノという訳。 で、結局このおじさん大仏開眼の10年後に亡くなっちゃたらしいんだけど(なぜ「らしい」なのかは後に知るであろう)、この大仏は御獄薬師信仰の教会として今も機能しているのだ。

その教会なんだけど・・・実は大仏さんの背中にくっついてるんです。真横から見ると丁度大仏さんの背もたれ状態。

こちらも大仏さんと同じコンクリート造で灰色に塗られていて大仏と一体化している。

    
    

中に入ってみる。

この教会を管理していると思われるお婆さんがやってきて、色々と話をしてくれるのだが、入れ歯が抜けて口元が緩い上にバリバリの尾張弁(と思う)でカマすので何を言っているのかさっぱり分からず、結局分かったのは前田氏が亡くなった時期くらい。


教会の1階は畳敷きの広間。前田氏の当時の写真などが掛けてある。

その広間に直結して洞穴のような須弥壇があり、本尊の薬師さまが奉られている。ここは丁度大仏さんの尻に当たる部分で、さらに奥にもう一つ洞穴状の部屋があり、そこにはなんたら上人やらが奉ってあった。
大仏さんの膝のあたりだ。


建物を出てもう一度大仏さんを眺める。
病弱なオヤジが作りあげた夢の砦、ここを信仰してる人には悪いけどやっぱり不味い顔だ。笑っちゃう位に。

 


1997.9.
情報提供はへりおすさんです
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