伏見稲荷大社/京都府京都市


京都の伏見稲荷は全国4万のお稲荷さんの総本社だ。

その伏見稲荷、檜皮葺きの本殿は確かにデカイ。しかしそんなことは問題ではない。

真のクライマックスはその奥にあるお山巡りである。ここは神道の、否、日本の最もディープな部分ではなかろうか。

ヒトの身体に例えれば、間違いなく内臓、それも最深部の内臓器官だ。自分の内臓を見る機会はあまりないが、ここ伏見稲荷ではそれに近い感触が得られる。

何せ我々が普段全く意識しない、もしくは無視している、ニホンジンとしてのルーツをこれでもかという位に見せつけてくれるからだ。

といってひるむ必要はない。必要なのはある程度の体力だけ。極端に体力がない人は諦めてください。

本殿の裏の千本鳥居からこの魔界巡りはスタートする。

千本鳥居というが実際は万本鳥居という表現でも追い付かない程おびただしい数の鳥居が連続する。それらは殆ど隙間を空けずに建っているので朱のトンネルのような状態になっている。


幾つものトンネルを抜けると次に現われるのはこれまたおびただしい数の祠。

    

この祠はそれぞれが個人所有のものらしくそれが20〜100程度集まった「神様の集落」が何箇所もあり、そこには30・程のミニ鳥居が墓地の塔婆のように納められている。もしかしたら神道の墓地なのかも。


    

とにかく鳥居、鳥居、また鳥居の連続だ。人っ子一人いない山の中の奥まで延々と続く鳥居のトンネルを潜っていると、よくこんな山の中まで建てるなあ、などと思いつつ、だんだん精神状態がミニマルになってくる。

    

一生分の鳥居を見た気分になって山から降りてくると、その本殿さえもやけに俗っぽく小さく見えてしまうのだ。



神道は八百萬の神がいるというが本当にそれ位いるんなら、これ位の奉りかたしとかないとまずいんだろうなあ。


1997.5.
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