桃巌寺/愛知県名古屋市
(後編)
さて、辯才殿&本堂を拝観した後、境内の奥の方に移動する。
先程からチラッチラッと見えていたのはこんなお方。
ハイ。冗談のように鮮やかな緑色の大仏さんですね。
像高10m、基壇5m、昭和62年に開眼した青銅製の堂々たる大仏さんである。
その名は名古屋大佛。東海地方を背負ってたつ(座ってるけど)気概に溢れたネーミングである。
周囲に象さんを従え堂々の鎮座っぷりである。
にしてもこの素晴らしすぎるカラーリングは一体何?
実はこのお寺、何度か訪問したことがあり、実はこのサイトで紹介するのも若干の今更感があった。
以前は真っ黒な大仏さんだったんです。
1999年撮影
数年前に塗りなおしをした事によって変な方向にパワーアップしましたね。
妙な色の大仏になった事で珍寺ステージがひとつ上がって、今回紹介するに至ったわけでして。
って、それもお寺サイドにしてみれば迷惑千万なハナシですね…
現在のグリーン大仏と以前のブラック大仏を比べていただくとこんな感じになります。
ツヤ消し黒の大仏さんの方が渋みはあったように思えるが、今更渋みがあっても、ねえ。
先程あえて紹介しなかったが、本堂内の巨大木魚の後ろには塗り替え前の大仏さんの写真と金パーツ部分が展示されていた。
唇と目と耳、なのかな。
金の部分がビカビカに目立っていて、何だか充電中!って感じ。
にしてもどうだろう、台座の造形の素晴らしさ。
象だけでなく、正面の僧侶と鹿、背後の孔雀、とモチーフ的にもインド、あるいはチベット仏教の影響を感じさせる。
よく見れば台座の部分は菩提樹のようだ。
そして大仏さんの傍らには巨大な手が。
恐らく大仏さんの手と同じサイズです、的なモノ。
このギミックは三重の大観音寺や奈良のなら奈良館などにもあるが、大仏の大きさを間近に感じる事が出来る。
ちなみにここの大仏さんは見世物じゃないそうです。
この世に存在する大仏の9割方は見世物と信じて疑わない私にとっては斬新すぎるコメント。
じゃあ何かというと「佛教信者が禮拝参詣するご尊像」で「鋳造資金を寄進された方々」と「当寺が参詣することを是認した人びと」だけが参詣できるのだとか。
え〜と…さっき御住職に「大仏さんも見てってよ」と言われたので、コレは是認された、と解釈してよろしいんでしょうか?って考えるまでもなく既にバリバリお参りしちゃってるんですけど、いいすか?いいっすよね。
佛様と無言の対話をしてほしい、というメッセージにこのお寺の真摯な姿勢を感じる事が出来る。
恐らく先程のチンチン神サマの展示とか裸弁天とか巨大な木魚とかもこのグリーン大仏同様、決してウケを狙っているわけではないのだ。と思う。つか思いたい。
これもね。
印鑰童子とは弁財天の眷属である十六童子のひとつ。
では何故それがチン型なのかはチベット仏教の秘法と思われるのでここでお答えすることは出来ません。
夕暮れの境内をぶらぶらと歩く。
たまにギョッとするエリアもあってスリル満点だ。
おお、インド版金精サマ、リンガ!リンガ!
生命之根源とある。
先程訪れた辯才殿を外から眺める。何故か洋風建築だったりする。
恐ろしいまでの紅葉に浮かび上がる辯才殿の姿。
燃えさかる火の海に浮かぶノアの方舟のようにも見えた。
激動の現代社会をラマ教一発で乗り切っていこうとするこのお寺の腰の据わった覚悟のようなものを象徴しているように思えてならない。
2008.11.
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