人形道祖神/秋田県


東日本の農村にはワラ等で大きな人形をつくり、それを村の入口に立て、悪い疫病が入って来ないようにする風習がある。

 

それまでも単発で田舎の村境に小さなワラの人形や注連縄やワラの蛇などが掛かっているのを見かけた事はあった。

しかし、福島県船引町のオニンギョウサマを見に行った際、その村の守護神的な堂々たる巨大人形の姿に感動。

調べてみると、こんな本に出会った。

「人形道祖神」

電話帳のように分厚いこの本には全国の巨大ワラ人形の様子が細かに記載されている。

その子細さ、調査範囲の広範さは、著者の全精力を注入した、まるでページを捲るごとに著者の体液が滴り落ちてきそうな超力作である。

ハッキリいって世間的な注目もあびないであろうこのような事に半生を傾けたその生き様はある意味、感動的ですらある。

そのお陰で日本における人形道祖神の全容とその意味あいがほぼ俯瞰することができるのだ。

そんな分厚い本を抱えて秋田を歩いて来た。キリスト教徒が聖書を抱えて巡礼するがごとく、私は「人形道祖神」を抱えて秋田を巡礼して来ました。

その感想。

持ち運びにはあまりふさわしくない本でした。重量が1.5キロですから。

 

で、巨大ワラ人形の塞の神だが、ここでは「人形道祖神」の著者、神野氏に大いに敬意を表しつつ氏の造語である人形道祖神という総称を使用させていただく。

秋田県下には人形道祖神が多い。恐らく日本有数の人形道祖神保有県といってもいいだろう。

しかもその種類たるや多種多様。

今まで精々等身大のワラ人形を村境に置くという程度の認識だった私の甘い認識と常識をことごとく破壊してくれた。

中にはワラ人形ですらないケースもちらほら。

そんな人形道祖神。今回は人形道祖神が集中していると思われる秋田県北部の米代川流域と南部の横手盆地にスポットをあててみた。

それでは遥かなる人形道祖神の世界へ行ってらっしゃ〜い。

 

大館市白沢付近

 大館市雪沢付近

米代川流域

横手盆地

 

 

参考文献:「人形道祖神」 神野善治著 白水社刊


2005.7.

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